いよいよパルプンテが抑留されているエスタ国立魔女記念館にやってきた。
記念館なのか。祈念館だと思っていたよ。
魔女の再来がないように祈念する場所ではなく
魔女という災害を記念する一方で、裏側では対魔女の研究も続けていたのだろう。
おそらくエスタの小学生などは社会科見学で訪れたりしているんだろうなあ。
アデルの悪行や、それに対してラグナ率いるレジスタンスがどう戦ったのか。
オダイン博士のすばらしい対魔女グッズの数々。
もちろんオダイン博士には普通の服を着用していただいております。
ところでラグナ主演の『魔女の騎士』は輸入されているのだろうか?
魔女を倒す尖兵となったラグナが、一方では魔女を守る役目を演じているのだから奇妙な話だ。
おそらくエスタ人はそういうことは知らないのだろう。
ラグナにしても、きっと忘れていると思う。
そもそもサイファーがリクエストを出さなければバラム・ガーデンの図書館になかったくらいなのだから
『キラー・コンドーム』とか『死霊の盆踊り』のようなB級映画なのだろうし。
まあ、主役をそこらから拾ってくるようじゃなあ。


どんなに地味な郷土博物館でもお客さんがいるというのに
魔女記念館には来館者が誰一人としていないようだった。
新しい魔女、パルプンテを迎えていよいよその本来の使命に従事するべく
臨時閉館にでもしたのだろう。
つまりわかっているか、ヒャダルコよ。
民間人がいないから、力ずくでいけるということだぞ。
本来ならば「相手が手段を選ばないだろうから慎重にな」というべきなのだろうが
100個のアルテマストーンで武装しリボンを身につけたヒャダルコたちの前には
慎重にという言葉は意味がない。たとえここでアルティミシアパルプンテに乗り移ったとしても
ヒャダルコの滅多切りで生き延びはできないだろう。乗り込め。


三段の階段を登り、魔女記念館内部へ向かう。
出入り口の前では二人のエスタ兵が警備をしていた。
確かに今はもう臨戦態勢に入っているようだ。
それでも情けは失っていないようで
ヒャダルコたちの来訪目的を見送りだと勝手に勘違いして
勝手に通してくれた。
ごめん。俺たちの目標は誘拐です。