緊急事態が起きたらしく、上の研究所にいる警備兵を呼べと命ぜられた。
その前にムンバに頼まれた道具を投げてやったら
ムンバは受け取れなかったのか、道具が直撃したのか落ちそうになってしまう。
このあたりの動作、画面を見る限りではほうってやったとかではなく
憎しみを込めて投げつけたという方が正しいモーションなのだが
もちろんラグナに悪意はない。慌てて引っ張りあげてやった。
「ほんっと……よかった」
誰が落としたのかすっかり忘れてムンバの無事を喜ぶ。
そんな様子を見ていた男が話しかけててきた。


なんと彼は、いまエスタを牛耳っているアデルに対するレジスタンス活動らしい。
なるほど、まだ魔女戦争の最中なのだな。
それにしてもそんなことを監視カメラがあるあたりで話していいのかお前。
森のフクロウといいキツネといいこの世界のレジスタンスにはろくなのがいないと思う。
その分、とりあえずのボスだったイデアは気弱なおばさんだし
その騎士を気取っていたサイファーは才能を恃んでドーピングを極めなかった愚か者である。
悪役がダメだからレジスタンスがだめなのか
レジスタンスがダメだから悪役が弛緩するのか。タマゴかニワトリか。
ともあれタマゴもニワトリも物語を盛り上げようとしていないことに関しては間違いない。
ここエスタでも、彼らレジスタンスの大半は技術屋なので倒すための研究をするばかりで
実際に引っ張る人間に不足しているらしい。
権力者に反抗するような危険な行為は強固な意志があって初めて前進できるんじゃないのか。
そして前進できない自転車は倒れるだけなんだが。
しかし倒れる前に彼らはその危険性に気づき
というかイザというときのスケープゴートを立てる必要に気づき
ここでいまラグナと出会ったということなのだろう。
まてラグナ。迂闊にその男に返事をするな。


「あんたのような損得なしに、自分に正直に生きる、そんな指導者を」
正直に生きていた奴が、自分の好きで自分たちを率いてくれれば
いざというとき切り落とすのに良心の呵責がないといえば穿ちすぎか。
実際のところは、理で割り切れてしまう科学者技術者たちだからこそ
理不尽の塊であり善良であることは疑いの余地がないラグナをなんだか美化してしまっているのだろうか。
そしてその美化を助長する問題が訪れた。
会話をさえぎるようにエスタ兵が襲い掛かってきたのだ。
堪忍袋の緒が切れたラグナはいつもどおりに手榴弾を投げて
どこからともなく現れたロープにつかまって兵士を蜂の巣にする。
ああ、これまた技術者にはなかった暴力と行動力を見せてしまった。
なんだかラグナがエスタの歴史に飲み込まれていく気がする。
それにしても何度見てもラグナの「デスペラード」は狂っている。
パルプンテが手からたまを発射する「たまキャノン」も相当笑えるのだが
このラグナの愉快さはちょっと例を見ない。
だって、撃つ相手から視線を切っているんですよ。
反撃もない。狙いをつける必要もない。
圧倒的な弾薬の量で押し切ってやろうじゃないか。
ある意味とても男らしい攻撃だ。
キロスとウォードが兵士たちに追われてきたが
同じように上空からの弾薬の雨に叩き潰された。
さあ、エレベーターに乗って脱出しよう。