氷漬けにされた色気づいた兄ちゃん、うるさい女、うるさい大物の三人が地球から放逐された頃
地上に取り残されたたまが何かを感じ取ってルナ・ベースの外へと走り出していった。
慌てて走り出すキスティス先生とアーヴァイン。
ゼルは早速手綱を取れてません。
呆然と立ち尽くしていると、ルナ・ベースが不自然に揺るがされた。
なんだろう。外に出てみるとなんだか超巨大な建造物が上空を通過していった。
どうやらエスタ・シティに向かっているらしい。
これもエスタの科学力の果実かと思ってみるが
ルナ・ベースの職員たちもびっくりしている。
彼らにとっても意外なことがおきているようだ。
それは見学しなければ。ゆうざん師匠に蚊取り線香を焚いてもらってエスタ・シティに向かう。


エスタ・シティに戻って番兵に訊いたら、彼もわからないと言う。
エスタのマークは刻まれている。しかし初めて見たという。
つまり、どこかでナイショに開発されていたものか
彼が生まれる前に使われていたかのどちらかだろう。
しかしこの技術立国で、昔にエスタシティを文字通り震撼させるようなものがあったとしたら
いまの彼らが知らないほうがおかしい。
留守がちで無責任な大統領が何かたくらんでいたのだろうか。
やはり技術といったらこの人である。バカ殿に訊いてみよう。
バカ殿はなんだか珍しいくらいに機嫌がいいらしい。
お前かー! お前の仕業かー!
研究室に踊りこむと、バカ殿は助手と話していた。
「なぜ今頃ルナティック・パンドラが? 誰が動かしているのでおじゃるか?」
ルナティック・パンドラといえばラグナが働かされていた移動式動物園のことか。
なんと移動は移動でも空を飛べたらしい。大変なことだな。
そしてそれをしたのはガルバディアなのだそうだ。
すごい。


ガーデンだけが空飛ぶ存在であり
それがバラムだけとなった以上侵入経路はF.H.経由だけかと思っていたのだが
ガルバディア軍も、空を飛び山を越えることでトゥルーマン・ショーの壁を突破したという。
それにしても、そのような見事な指揮をだれがとっているのだろうか。
イデアはいまここにいて
カーウェイ大佐は侵略の愚かしさを悟っている。
サイファー? 無理だ。
誰も該当者が思い浮かばない。
あと残っているガルバディアの有力者といったらマスター・ドドンナくらいだが
ノーグの手下にそんなことができるとはちょっと考えられない。
というか新キャラだろうか。
これまで出会っているガルバディア人で、見落としている人物といえば……
はっ! ビッグスもと大佐?
いやいや。それはサイファーと同じくらいありえない。
街に警告を発しなければと焦る助手に、バカ殿は余裕だった。
「あれが攻撃してくることはないでおじゃる。
 それにこの街が目的ではないはずでおじゃる」
なんで断言できるんだろう。
バカ殿はそのナゾの司令官と知り合いなのだろうか?