フロア7がゼルたちのいる場所らしい。そしていやな感じのヤツがやってきた。
さっきの音は、とそいつが説明する。
「おまえたちの仲間が拷問を受ける音だ」
おそらくにやついているんだろう。4人のうち3人美人ならそりゃ嬉しいわな。
反抗のそぶりを見せたゼルを銃で脅し蹴りつける。
反政府の人間を収容するくらいだから、これがここのしつけなのだろう。
いやな感じのヤツはパルプンテを探しに来たのだった。
父親の差し金で助けに来たのだろうか。
パルプンテは連れて行かれてしまった。


めまぐるしく場面は変わり、ヒャダルコの個室にサイファーが現れた。
敗北のショックはもう癒えたらしい。
というよりサイファーにしてみたらまっとうな勝負には思えないよな。
ヒャダルコ、みじめだな」
ふらつくヒャダルコを、髪の毛をひっつかんで放り投げた。
やっぱりすごい腕力だ。
連れて行け、という言葉に入ってきたのはなんとモンスターだった。
やはり魔女はモンスターを手なずけているのだろう。
そしてヒャダルコは壁に貼り付けられた。暴れるが、鎖で縛られていて身動きが取れない。
「何が知りたいんだ」
「SeeDとはなんだ。イデアが知りたがっている」
え?
SeeDのことを腐った庭に撒かれた種と言ってのけたからてっきり詳しいのかと思っていたけど。
質問の答えをヒャダルコは思い浮かべる。
バラム・ガーデンが世界に誇る傭兵のコード・ネームであり
戦闘のスペシャリストでもある。
だが、そんなことはサイファーも知っていることだ。
「あんたも知っているだろう?」
試験に落ち続けるってのはそういうことなのだろうか?
「俺はSeeDじゃない」
SeeDになってから知らされる重要な秘密というものがあるのではないのか。
それがイデアが知りたいことらしい。
「残念ながら……ない。あったとしても言うと思うのか?」
「お前は『ホネのあるやつリスト』に入ってるぜ」
なんだそのリストは。なんのためのものか。
暇な時にひっぱりだして「やっぱりヒャダルコはホネがあるなあ」とか悦に入るためのものか?
いや、風紀委員として制裁を加える時に
いきなりAランクから始めますよとかいうものか。
それにしても風紀委員としての活動の日々を忘れたわけじゃなかったんだな。
サイファーはサイファーのまま魔女に従うことを選んだのか。
「だから簡単にしゃべるとは思っていない」
そして電流を流した。
「お前が言わなけりゃ、他の奴らに吐かせるさ」
ヒャダルコは何もしゃべらない。しゃべれない。しかしサイファーは余裕があった。
「先生、伝令の女、チキン野郎……チキン野郎なんか3秒もたねえぞ」
それを聞いてヒャダルコが、全員の安否を知りたがった。
少しずつ、彼らも仲間になってきているのか。
いや、さすがのヒャダルコも気弱になっているのだろう。


サイファーは話題を変える。
「会いたかったぜ、ヒャダルコ。俺の晴れ姿、どうだった?
 俺は魔女の騎士になったんだぞ。餓鬼のころからの夢だったぜ」
なるほど。電波塔突入前にいつかロ〜マンティックな夢を話してくれると約束してくれていたが
それをここで果たしてくれるつもりになったのだろう。
それが、3秒もたないチキン野郎より先に『ホネのあるやつリスト』にはいっているヒャダルコを呼んだ理由なのだ。
それにしてもサイファーはどこで『魔女の騎士』なんてものに憧れるようになったのだろう。
絵本? テレビ? 小説?
とにかく斬新な媒体だと思う。
魔女戦争が終わって数年して、まだ魔女が恐怖の存在であるころ。
魔女の騎士、というものが子供心にかっこよく映るように描かれるなんて。
あるいはサイファーは、エスタの出身だったのかもしれない。
エスタならば実際は味方として魔女をみなしていたのだから
戦争の最中にそういう作品が作られたとしてもわかる。
でもそれを考えたら、エスタで作られたものが
終戦後にバラムに輸入されたという考えもできるか。
電波塔に突入する直前、サイファーはヒャダルコに語った。
サイファーには夢があり、夢は無理であり
戦いに勝つことだけが夢の実現に近づけてくれると。
だから彼は戦いが好きなのだと。
確かに魔女の騎士になるなどという夢は無茶も無茶である。第一魔女がいない。
だから非常手段である戦いを求め続けたサイファーは、幸運にも夢を実現することができた。
それを考えると、パルプンテに対する態度の激変も分かる気がする。
どうやったら魔女の騎士になれるか見当もつかなかったサイファーの中で
いつしか手段の目的化が起きており
そのためにティンバーのレジスタンスにも過度に肩入れしていた。
しかしいざ夢を実現したらもう無駄な戦いをする必要はない
そのため生贄にささげられようとしていたパルプンテも救う必要がなかった。
すっきりしている男だな。
それにしても皮肉な話である。
魔女のSeeDに対する憎悪と不安感からし
SeeDが魔女に対抗するものとして作られたものであるか
あるいはシド学園長が魔女に対抗する人物であることは間違いないだろう。
その育成施設にこともあろうに魔女の騎士になりたい生徒が入ってきたのだから。
なんのきなしに種をまいていたらミントの種が混じっていて
他の植物を枯らすほど繁殖したようなものだろうか。
そして今まさにヒャダルコが枯らされようとしていた。
(でも……サイファー……これじゃ、ただ、の……)
「……拷問、係だ」
ヒャダルコは気絶してしまった。サイファーは拍子抜けする。
おいおいヒャダルコさんよぉ!
「ここは、お前が俺への憎しみをつのらせるシーンなんだぜ?
 魔女の騎士と悪の傭兵が戦う宿命の物語。一緒に楽しもうぜ、ヒャダルコ
なに言ってんだ。
確かにお前は素でHPが1200超えるような化け物になってしまった。
同じ時期を懲罰室ではなく実戦で鍛えていたヒャダルコに幻想をもつのはわかるし
実際その幻想は、パレードカーの上で手も足も出なかったことで確定されたのもわかる。
でも実はヒャダルコはどっちかというと錬金術とドーピングにいそしんでいたんだ。
頼む。勘弁してやってくれ。
(※この時点では3/16のルッカさんのコメントは読んでいません。今後もコメントで教えられた設定は頭から除外して、あくまで自分のプレイで与えられたものだけで考えます)

それにしてもサイファーの中ではあくまで魔女の騎士は善なのに
正義の陣営が拷問して憎しみを受けてもいいって判断なのか。
さすが戦争が日常茶飯事になっていると情報収集は何よりも優先されるのだろうなあ。