草原の向こうに黄褐色の建物が見える。
遺跡、というよりは何らかの観測基地に思えるのだが
ステータス画面を眺めてみるとセントラ遺跡と書いてあった。
気がつくと左上に19:38の文字があり、見る間に減っていく。
どうやらタイムトライアルに無理やり巻き込まれたようだ。
響き渡る声か? それとも脳裏に直接伝わっているのか?
とことこと歩いていると『オーディン』と名乗る男に話しかけられる。
応えることができないのと、明らかにこちらが何を言おうが聞く耳持たないので
とっとと奥地を目指すことにする。


観測地、ではなく何かの競技場だろうか?
円形で平たく石を敷き詰められた場所にたどり着く。
ゆうざん師匠の蚊取り線香をつけ忘れていたために怪物に遭遇した。
出てきたのはみすぼらしい衣裳を着て、右手に出刃包丁、左手にランタンを持った
緑色の皮膚と黄色い丸い目をした生き物だった。
蹴散らそうとしたのだがこれが存外に強い。
じりじりと接近してくるのを止めることができない。
それでも甘く見て包丁をぶんどったりしているうちに
ゼルが包丁で刺されて倒れた。
これまで100だの150だのというダメージが多い中
いきなり700ですよ。びっくりしたなー。
慌ててゼルを回復させ
デュエルに持ち込むとなんと12秒のリミットを与えられた。
どれだけダメージを与えられるのだろう、とざっと計算してみたら
700×28+2000で20,000超にものぼる。
すごいな、ゼル。指が疲れるけど頼りになる奴だ。


あわててゆうざん師匠に蚊取り線香を炊いてもらう。
この戦いだけで3分以上とられちゃったよ。
早いところオーディンとやらいうこの偉そうな奴をとっちめないと。
吊り下げ型の階段を登った先には祭壇があって
その中で一段上がっている四角い石に乗ったらなんと単体で上昇を始めた。
すげえー! と感動したのだが
考えてみれば、擬似魔法の「レビテト」ですら同じ行為は可能なのだった。
うかつに学校とか先生とか傭兵とか言っているから擬似魔法のことを忘れるが
よく考えるとこの世界の常識は俺たちのものとは大違いなんだよな。


浮遊する岩のさきでスイッチを入れたら、何かが動き出したようだった。
しかしどこにどういう変化が出ているのかわからない。
あたふたとしているうちに、20分が過ぎてしまった。
偉そうなオーディンに偉そうに怒られる。どうも殺されるか、もう一度やるからしい。
敗者復活のチャンスをくれるなんていい奴だ。
それくらいにこの遺跡へのチャレンジャーが少ないとも思えるが。
しかも二回目は、先ほどのスイッチが押されていた。
しかしそこからなにをしていいかわからない。
またタイムアップになった。