みんなが立ち去ったコートにパルプンテだけがヒャダルコを待つ。
パルプンテは気弱そうだった。
そりゃそうだ。結局、自分が感じている不安には誰一人賛成してくれなかったのだから。
「結局俺たち孤児院育ちはお嬢ちゃんとちがってバトルしかないんだよ!」
と開き直られたことになるのだから。
妖精がパルプンテにくれた贈り物は唯一
弱さを見せたにも関わらずにみんなが一緒にいてくれと言ってくれたことだけだろう。
「みんな強いんだね……」
(強い? それはきっと違うような気がする。深く考えると、身動き取れなくなる。
 みんな……それが怖いんだと思う)
ヒャダルコたちは訓練の結果戦いに特化して心身が強い。
そのために、深く考えずに済ませてしまっていられるのだ。
一方訓練を受けていないパルプンテはそこまで強くいられない。
だから、なるべく戦いの悲しみやら恐怖やらを避ける方法を探そうとする。
でも、こんな殺し殺され恨み恨まれをどこかで断ち切るには
パルプンテやドープ駅長のような争いになじまない人間が考えないといけないのだと思う。
戦いは軍人の頭脳でも始められるけど、政治家の頭脳じゃないと終わらせられないのかもしれない。
ヒャダルコたちは戦いを続けて加速させる強さを持っているけど
終わらせる強さはもっていない。
「戦わなくてもいい方法か。見つかればいいな」
ヒャダルコのこの言葉も、パルプンテの体現する強さというものへの敬意の表れかもしれない。
ドープ駅長もそうだけど、ヒャダルコはいい出会いをしております。


というところで本日はおしまい。
読みながら何度も投げ出しそうになったけど
喉もと過ぎれば師匠の記憶操作もなんとか飲み下せるものです。
次回は石の家へ向かいます。また、回想シーンだけで3時間くらいかかると思います。
今回の下書きをつくるのに2時間半ですからね。