『エア・ステーションスタッフ一同、貴船の幸運を祈る』
最後に伝えられたそのことばに、ありがとう、と反射的にヒャダルコは礼を言う。
そして、後ろでぼーっと突っ立っているパルプンテに席に着くように指示をした。
パルプンテは少し歩くが低重力の中での身体の扱いには慣れていないらしい。
あるいはぴょこぴょこ上下動の激しい歩き方なのだろうか
ふわりと身体が浮いてしまう。
それを見てヒャダルコは席を離れると
浮かぶパルプンテをお姫様抱っこで確保した。
こちらは対照的にこの環境での身動きに慣れている。
ガルバディア・ガーデンは個人的な飛行機械を実用化していたから
バラム・ガーデンでもその対抗手段として空中での行動は訓練していたのかもしれない。
その際に、落下中の無重力訓練もしていたのかしら。
いや正解は
こんなことでのたのたしていても本筋に関係ないからなのですが。


シートの上空までパルプンテを移動させ
ヒャダルコは、天井を蹴ってシートに取り付く見本を見せた。
もともとパルプンテは、ガーデンで鍛えられていないにも関わらず
SeeDやガルバディア・ガーデンの優等生と肉弾格闘ではタメをはりかねない運動の天才である。
一度の見本で完全に動作をマスターした。
狙いはヒャダルコの膝の上だったが。
とつぜん膝の上で抱きついてきたパルプンテにも
ヒャダルコは邪険にしたりはしない。
なんだかんだといってもこの女に触れて話をするために宇宙くんだりまで来たわけだし
どうやら無事に帰れそうだ。
ヒャダルコといえど緩んだとしてもおかしくはない。
「帰れるかな?」
「たぶんな」
さて、このあと若い二人が
かれこれ5分くらいいちゃつくわけなのですが
正直言って苦痛でした。
セリフの再現なんぞ頼まれてもごめんなので
要点だけダイジェストでお送りします。