話に出てきた長老の家に行ってみる。
最高権力者なのに質素なそのたたずまいは
シュミ族が長老になるかどうかの採点基準に『質素倹約を旨とすべし』があることをうかがわせる。
内部には水槽がありお付きが一人ついているがあくまで内装も控えめで
たたずまいは質素でも中はゴージャス、という一時代前の芸人でもなかった。
お付きはヒャダルコたちを迎えて言う。
「ようこそ、おめおめ来られました」
どうやらお付きにも金をかけていないらしい。
村長って、なって楽しい職業なのだろうか。


村長にラグナとの関係を訊いてみた。
17年前にラグナを助けたのだという。
……17年前?
てことは、あれか?
ラグナがシュミ族の村に訪れたのは『魔女の騎士』の撮影のあとだろうから
もしかして、ラグナはエルオーネ捜索の旅の途中で撮影に参加したのか?
それはどうなんだ。人としてどうなんだ。
でもちょっと待て。ラグナの特殊技であるデスペラードを思い出せ。
榴弾を投げ込んだあと、上空から目線を切って無差別に無表情に弾丸を降らせるあの技を。
ラグナはもともとそういう奴なのだ。
エルオーネのことは大事、と言うのは口だけで
いざとなったら「ごめん、自分もかわいい」という奴なのだろう。


ちょっと年表を修正してみた。
XX年前 F.H.建設
XX年前 魔女戦争勃発
2X年前 エスタ、ウィンヒルへの最後の侵攻。
2X年前 最初のラグナの夢(ガルバディア vs ティンバーの交戦にて) 
     ラグナ、ジュリアと出会う。
19年前 ラグナ、セントラ遺跡で行方不明となる。
     ガルバディア、ティンバーを占領。
18年前 三度目のラグナの夢。ウィンヒルで復活。エルは4歳くらい?
     ジュリア、Eyes on meで歌手デビュー、カーウェイ少佐(当時)と結婚。
     キスティス、サイファー、シュウ誕生。
     ティンバー、征服されガルバディア領となる。
     ラグナ、ティンバーマニアックスの記者として旅に出る。
     エスタ、エルオーネを誘拐する。
     ラグナ、エルオーネを探して旅に出る。
     ラグナ、イデアと出会う。
17年前 四度目のラグナの夢。トラビアにて魔女の騎士の撮影。
     ラグナ、崖から落ちてシュミ族の村にて過ごす。
     五度目のラグナの夢。ラグナ、エスタにてエルオーネを救出する。
     魔女戦争終結。魔女アデル、倒されて宇宙に封印される。電波障害ならびにエスタの情報封鎖開始。
     宇宙船ラグナロク 漂流開始。
     デリング、ガルバディアの終身大統領に就任。
     ヒャダルコパルプンテ、セルフィ、ゼル、アーヴァイン誕生
     レイン死亡。
XX年前 エル&ヒャダルコ、レインと離ればなれになる。石の家へ。
13年前 サイファー、キスティス、シュウ、入学可能年齢に達する。
12年前 シド&ノーグ、バラム・ガーデン設立。
     サイファー、ヒャダルコ、ガーデンに入園。
     ジュリア、交通事故で死亡。
     ヒャダルコ、セルフィ、ゼル、アーヴァイン、入学可能年齢に達する。
08年前 キスティス先生、ガーデンに入園。
03年前 キスティス先生、SeeD認定試験に合格。
01年前 キスティス先生、教員採用試験に合格。
00年前 ヒャダルコ、ゼル、セルフィ、SeeD試験に合格。
     キスティス先生、教員をクビに。
     ガルバディアに魔女イデア登場。デリング殺害される。カーウェイ大佐実権を失う。
     トラビア・ガーデン壊滅。
     魔女イデア行方不明に。サイファー・アルマシーが実権を握る。
     ガルバディア軍、エスタ侵攻。
     宇宙船ラグナロク、地球に帰還。
     月の涙。魔女アデル、地球に帰還。
FF8の世界で最後にアルティミシアが目指すのは時間圧縮だという。
その中ではアルティミシア以外の人間は存在できないらしい。
最初のハインの遺志とでもいうべきその超常現象だが
実はこれまでちょくちょく起こっていたんじゃないかという気がするよ。
だって、18年前と17年前の密度が濃すぎる。
違う。ラグナの行動の密度が濃すぎる。


おそらくヒャダルコはラグナの息子なのだが
そのヒャダルコもいちどとんでもない時の流れを経験している。
SeeD認定試験でドールに行ったときのことだ。
午後に集合し、車に乗って港へ行き、ボートに乗ってほかの国に行き
戦って待機して山登りして戦って逃げ出して
ボートに乗って帰ってきました。
さて何日かかったでしょう。
まともに考えたら短くてまるまる2日かけて任務、その翌日がパーティーくらいじゃないか。
しかしヒャダルコは上記の行為を1日でやり遂げたのだ。
これこそが時間圧縮でなくてなんだろう。
アルティミシアも過去の魔女の力を借りて時間圧縮をしたいのだったら
イデアの力をヒャダルコに受け継がせればよかったのにね。
遺伝しない魔女の力とは違い
ヒャダルコやラグナの血統は、その血それ自体に時間圧縮の魔力を秘めているのだから。


ここにいる間のラグナのことを聞かせてほしい。
どうせひどいことをしたんじゃないですか。
謝る準備はありますよ。息子ですし。
しかし意外なことに、ラグナは悪さをしていなかった。
そのかわり、ムンバに言葉を教えようとしていたそうだ。
言葉、知らなかったのか。
ということは、ルナティック・パンドラ研究所でラグナと会話が成功したのは相当画期的なことだったのだろうし
17年経ってヒャダルコをラグナと見間違えたときも、口に出すという方法を実践するほど会話が根付いていたのは
やはりすごいことなのだと思う。