ラグナ像作成のお手伝いを終えてシュミ族の村を後にする。
デリングシティ、シュミ族の村と二つの観光名所を見物したから
いよいよパルプンテを迎えに行こう。
でもその前に、魔女祈念館の情報を集めようと
訪れたエスタシティは大変なことになっていた。
月の涙で落ちてきたモンスターたちがあふれかえり
とうとう市街地にまで侵入されてしまったのだ。
ずっと、外界の人間たちを阻んできた『トゥルーマン・ショーの壁』も
内部でだまされないモンスターたちには無力だったようだ。
呆然とする市民たち、喜んでいるバカ殿。
あの、ラグナ系の大統領はどうしたんだろう?
そう思いながら歩いていた通路にやつがいた。


「くけけけけけけ」
そいつは通路のへりに腰をかけているようだった。
大きさからも姿かたちからも人間で
ただ、完全なツヤなし黒はこのいかれたファッションセンスの国でも奇異に感じられる。
今までこんなやついたかしら、と話しかけると
上述の奇声をあげて
いきなり戦いが始まった。
空中から降りてきたのは
カモノハシのくちばし
コウモリの翼
工業用ロボットの前脚
蜂の胴体を持ち
質感は爬虫類の怪物だった。名をエルノーイルというらしい。
それにしても、必ず名前を知っているなんてたいした雷電だ。
ルノーイルはかなり高い確率でこちらの攻撃に対してカウンターを決めてくるが
ゼルのパンチ頭突きパンチ頭突きや
ヒャダルコの滅多切りの前ではない。
単なる雑魚か。そう思いながらもキスティス先生がドローをしかけた瞬間
その存在価値が急騰した。
なんと、憧れの術である『ペイン』が選べる。
ペインというと、精製する道具が見当たらないというのに
ドーピングの効果が非常に高い優れた魔法である。
ステータスにドーピングすると、たしか眠、暗闇、沈黙あたりを一気に防いだと思う。
つまりモルボル対策に必要な術なのだ。
これは殺すな! 生かして吸い取るのよ!
そう叫んだキスティス先生だったが
ヒャダルコの滅多切りが一瞬早くカモノハシは地に堕ちた。


しかし画面をいちど切り替えると
奴はまたそこにいた。
なんだ、固定の敵だったのか。
そうと決まればいろいろ戦法を試しながら
のんびりペインを集めながら倒そう。
そうして3回ほど倒したとき
戦利品を見てさらに驚いた。
『エネルギー結晶体』というそれは
なんと道具精製の材料となり、アルテマストーンになるのだ。
これまでの経験で、オーラストーンはオーラの魔法になったし
シェルストーンもフレアストーンもそうなった。
だからこれはアルテマになるのだ。
あまりに希少で、いまたった14個しかないアルテマ
こんなところでカモ(ノハシ)にしょわれて俺を待っている。
殺しました。
殺しつくしました。
何も考えずに切り殺し、撲殺し、異次元に叩き込みました。


アルテマストーンが100個になって
さあアルテマに精製するかなと思ったら、できない。
どうして。
どの師匠がやってくれるの。
このゲームの大前提は『困ったときはチュートリアル』である。
チュートリアルのヘルプからアビリティの説明を見ると
それぞれの変化で、どういうものが作れるか教えてもらえる。
それを師匠が身につけていたらの話だけど。
そしてどこにもアルテマをつくる特技はなかった。
怪しいのは『禁断魔法精製』という特技なのだが
それを誰が教えてくれるのかわからない。