ヒャダルコの意識がとぎれ、ふたたびラグナを夢見る。
これまでラグナの位置はヒャダルコの特等席だから、まだ生きているのだろうか。
夢の中のラグナは私服を着ており、ウィンヒルという村の空き家に住んでいた。
しかしキロスとウォードは見当たらない。
やはり崖から突き落とされたショックで死んでしまったのだろうか。
そこにエルオーネという女の子がやってきた。まだ小学生低学年くらいの話し方をしている。
ラグナに来客があり、隣の店でレインという人物が対応しているという。
呼びに来てくれたエルオーネをラグナはしかりつけた。
隣家にいくのも危険なほど、この村には怪物が入り込んでいるらしい。
たいへんな荒廃ぶりである。どの地方で、どのくらいの年代なのだろうか?
とにかく客に会うために隣に行ってみることにする。


先に部屋を出ていたエルオーネは階下で待っていてくれた。
「待ってたよ! えらい?」
ラグナはえらいえらいとエルオーネの髪をくしゃくしゃにして
写真立てに映るエルオーネの両親に彼女が今日もいい子であると報告した。
それにしても芸が細かいな。エルオーネはちゃんとくしゃくしゃにされた髪を整えてから
両親に報告するラグナを見ている。
ステータス画面では空き家と表示されているのに、写真立てなどを見るかぎりでは
ここはもともとエルオーネが住んでいた家のようだ。
壁には銃痕が残っているところから、ここも戦火に巻き込まれたのだろうと想像できる。
そしてエルオーネの両親は亡くなり、エルオーネは隣家のレインという人物に引き取られた。
その空き家にラグナが住まわせてもらっている。そういうところだろうか。
報告を済ませるとエルオーネは外に出て行ってしまった。
おいおい、外は危険だって! 慌ててあとを追う。


エルオーネはちゃんと家の前で待っていた。えらいえらい。
そして、広場の真ん中にはどうもガルバディアの兵士らしき人物が立っている。
ガルバディアが派遣した兵隊だろうか? 確認してみよう。
「なあ、エスタ兵、来ると思うか?」
敵意は感じられない。
やはりここはエスタとの国境に近いガルバディア国領なのだろう。
「ありゃ、二年前なんだろ? 来るならとっくに来てるんじゃねえか?」
ラグナの返事はこうだ。つまり、壁の銃痕などを残したエスタの侵略は二年前のことで
それからガルバディアが防衛の兵士を駐留させているのだろう。
しかし兵士も大勢はおらず怪物といっても大人は襲わない程度なのだろうか。
「でもなあ……。魔女が支配してる国の連中が考えることなんてわからんよ」
ありゃ。俺勘違いしてた。前回の魔女戦争はエスタと魔女が手を結んだと思っていたが
少なくとも現場レベルでは魔女に支配された国とみなされていたのだ。
そしてまだ、この時点で魔女戦争は終わっていないらしい。
それにしても、この兵士が生き延びたら魔女に支配される自分の国をどう思うのだろうか。
やっぱり『味方になるなら話は別』となるのだろうか。


店の中ではレインという女性にエルオーネが怒られていた。
やはりラグナを呼びに来たのはエルオーネの勝手な行動だったらしい。
(おこられちった)
舌を出す様子が目に見えるようだ。かわいいな、エルオーネ。
そりゃ、しゃーねえなー。約束を守らないのが悪い。ラグナとエルオーネは仲良しだ。
そこにレインのお叱りが飛ぶ。エルオーネにはキチンとした言葉で話しかけろ、と。
両親を亡くした子だけに、ちゃんと育てる責任を感じているのだろう。
しっかりした素敵な女性だ。
ラグナのシーンは、ヒャダルコにささくれだったプレイヤーの気持ちをなだめるためにあるのかも知れない。