部屋でヒャダルコが物思いにふけっている。
あれから総出でマスター派の放ったモンスターやMD層にいたモンスターを退治して
することがない待機の状態である。
やらなきゃならないことは山積みながら、ごろごろとヒャダルコは寝返りを打つ。
いろいろありすぎたから、ちょっと気分のエア・ポケットにはまっているのだろう。
窓の外は海原のため照り返しで眩しかった。
(退屈、ひま、てもちぶさた……)
ヒャダルコは有り余る時間が嫌いだった。
動いていなければ、いろいろ考えてしまうから。
セルフィは生きているか?
行かせてよかったのか?
ゼルやアーヴァインは彼を恨んでいるか?
仲間のことが頭から離れない。
ミサイルは発射され、ガーデンが移動しなければ今頃壊滅していたはずだ。
それが意味することはセルフィたちの発射阻止が間に合わなかったか
実施したのだけれど失敗したのかだ。
前者ならまだしも後者であったら命の保証はないだろう。
ヒャダルコは心配でしょうがない。一昔前とは大きな違いがある。
魔女のこと、サイファーのことなど考えるうちにふたたび眠りに落ちた。
明るいなかから眠れるなんて、やっぱり疲れているのだろう。
寝かせてやりたいものだ。


と思っていない女が遊びにきた。パルプンテである。
「おハロー」
ああ、このセリフお前だったのか。たまにネットで見かけるんだよな。
いつも眉間にシワを寄せて、そして傷まである男の平和な寝顔はかわいかったらしい。
もともと黙ってればいい男だしね。
ぶすっとして無視しようとするも、パルプンテは動じない。
どこに、という言葉を省略して「行こう」と誘った。
やるじゃないか、パルプンテ
ヒャダルコの性格ではこれは無視できない。
考えないためにとにかく行動したいヒャダルコ
その言葉を、何かの指示がおりたのだろうと誤解するからだ。
もともとヒャダルコの頭の中には
暇になったから友達と遊ぼうという意識はないだろうし。
そして罠だとわかった時には遅かった。
ガルバディア・ガーデンも珍しかったパルプンテは探検の従者にヒャダルコを選んだだけだったのだ。
「……命令、か?」
これはヒャダルコの精一杯の抵抗なんじゃないだろうか。
とにかく今は何かしたいのだが
親切でこの女を案内することにはくすぐったさを感じるから
命令と言ってくれればしょうがないと計算したのではないだろうか。
もともとパルプンテとのやり取りはすべて命令というかたちをとってのもので
彼女も自分のわがままに『命令』という権威を与えることに躊躇しないから
こう訊けば「そうよ命令よ」と言うだろうと思ったのだろう。
しかしパルプンテは予想を裏切った。命令じゃないよ。
みんなが勉強したところ見たいの。
……。
…………。
しぶしぶながらもヒャダルコは承知した。


一方で、この会話はパルプンテにとっても賭けだったのではないだろうか。
会った当初のヒャダルコであれば、命令でなければむげに断られるところである。
でも、いつまでも『命令』でいては彼らと友達になれない。
ガルバディア・ガーデンのドドンナからの暗殺指令を
パルプンテはSeeDの一員として受けた。命令者ではなく仲間とみなされたのだ。
その任務からは父親の力で外されたが、にも関わらずヒャダルコとアーヴァインは助けてくれた。
その絆を深めるためにも『命令』が媒介する関係から脱却したいと思っているのは想像に難くない。
そしてここで賭けに出るからにはパルプンテヒャダルコが変わってきたことを感じ取ったのだろう。
俺は読解能力がないからこれまでの彼らの会話ではあまりわからないのだが
たぶん14インチのテレビじゃなければ表情などでわかったのだ。
当然至近距離で見つめているパルプンテにもわかったのだ。
ヒャダルコは変わってきているのだ。フレンドリーになってきているのだ。
本当か?
……こうなったら明日からはプロジェクターでやろうか。


というところで本日のリプレイはおしまい。
昨日書いたように、前日のものとあわせて3時間くらいのプレイでした。
どんどんプレイ時間が長くなっていきます。
もっと戦闘が多くて単調だったらどこでも切れるんだけど
ザコ敵に出会わないだけ、「あともうちょっと」となるんですなあ。
恐ろしいゲームです。
それにしても情報量が多くなってきた。
明日もゲームはお休みして、チュートリアルを読み直してここまでのまとめでもしようかしらん。