あー、ダメだ。パルプンテはアーヴァインとセルフィにとっつかまってた。
まあ、今はヒャダルコは本人のためになることを考えているから
そっとしておいていいのかな。
「どもども、みなさん」
セルフィもいるって事は、集めたメンバーって結局こいつら?
確かにパルプンテの母親は歌手だけど、彼女が5歳のときに亡くなったからぎりぎりピアノは教わっているのか?
そのほかの奴らにいたっては
キスティス先生は勉強しかしてこなかったろうしゼルはなにを扱っても壊しちまうんじゃないか?
しかしアーヴァインは心配していなかった。
「こちらがプロデューサーのセルフィ」
と改まって紹介をする。
って、よく見たらステージが直ってるじゃないか。
壊れていたとは思えないくらいきれいに直してもらっている。
よかったなあ、セルフィ。
アーヴァインもいいアイデアだったじゃないか。
すっかりご機嫌になったセルフィは
「えっへんよろしく!」と胸を張る。
かわいいなあこの小動物は。
「今回のコンサートにはヒャダルコの指揮官就任祝いも兼ねてまして
 友達として今回の演奏を彼にプレゼントしたいと思っています」
なるほど、それだったらこのメンバーもわかるな。
楽しそうね、とキスティス先生も賛成してくれた。
で、演奏者は誰だ? とゼルが訊く。
なるほど。演奏者だといって集めたわけじゃないのね。
この人たち、セルフィを手伝う単なるスタッフとして呼ばれたと思ってるのね。
「……もしかして、わたしたち?」
呆然とする先生。できるかしら?
「やってみないとわからないよ」
気楽そうなパルプンテだが、俺はとてもそうは思えないのだが。
もしかしたら、パルプンテは音感を母から受け継いだのかもしれない。
だからあるていどだったらどんな楽器もこなせるのかも。
でも俺は、ギターを買って20日くらいであきらめたことがある。
ちょっとできませんやね。


確かにヒャダルコに指揮官を祝う気持ちを伝えるのなら拙劣でもいいのだろうが
そのほかの客を納得させるのはむずかしいぞ。
そして、演奏がだめだと指揮官たるヒャダルコの格まで下がっちゃうんじゃないのか。
「ま、とにかく楽器と譜面用意したから4人でメンバー組んで」
どこまでも楽天的なアーヴァインである。
面白そうと意気込むパルプンテを、セルフィはシャットアウトした。
仲間はずれではなく、パルプンテにはもっと大事な役をやってもらうという。
ボーカルか?
楽器の才能は遺伝するとは思えないが、声の質は母親に似ることもありそうだ。
セルフィ、アーヴァインふたりしてボーカルはパルプンテ以外にいないよねと決まったのかな。
「で、どうすんだ? 楽器をポンっと渡されてもな〜にもできないぜ」
心配そうなゼルだが、驚くべきことにそのあたりはセルフィもよくわからないらしい。
なにしろ転校して途中から学園祭を引き継いだから。
前の人がすすめてきた楽曲の譜面があるが、激突の混乱でばらばらになったらしい。
「4つのパートで成り立ってる楽曲なんだけど、今ここに8つのパートの譜面があるの」
ばらばらになるって、順序が乱れるとかじゃないんですか?
ほかのとまじっちゃったんですか?
そりゃひどいなつまりなんだ?
8つのうちの正しい4つを選ばないと正しい曲にはならないのか?
めくらめっぽうで選んで、全部が正しくなる確率って1.4%ですよ?
それって絶望的じゃないか……。
「今からみんなに楽器を持ってもらって、一人一人弾いてもらうから」
その音で判断するしかないってか……。


さて。楽器は以下の8種類である。
クリックすると、グーグルのイメージ検索に飛びます。
ギター
サックス
エレキギター
ピアノ
フィドル
フルート
エレキベース
タップ
なんか最後にへんなのいたぞ。タップってどういうもんだ?
ああ、タップダンスか。
とりあえず、ギターとエレキギターははずれるな。
エレキギターエレキベースはコンビだろう。
つまり、まず考えるべきはギター派にするか、エレキギター派にするかだ。
もう一つ考え方としては、
1)テンポゆっくり ……サックス、エレキギターエレキベース
2)テンポはやめ ……ギター、フィドル、フルート、タップ、ピアノ
と分けてみる。
それからメロディが似てるのがフィドル、フルート、タップ、ギター、ピアノかな。
サックス、エレキギターエレキベースは思い切って削ってしまって残りの5種から選ぼうかと思うのだが……。
だめだ。さっぱりわからん。
ということで、ゼルのギターをバックにアーヴァインは散歩に行くことにしよう。
気分転換が必要だ。それにしてもゼル、どんな楽器もこなすじゃないか。
これたぶん、正解があると思うのですが
絶対に正解を知らせないでください。なんとか耳だけでやってみます。
念のため次の日記までコメントを凍結します。


とりあえず今日はここまでと、アーヴァイン一人で動けるのでヒャダルコの部屋までセーブしに行く。
と思ったら、ここ駅長室の前だったのか。
駅長も、バトル至上主義者の彼らに場所を提供してくれるなんて
やはり「人による」「目的による」と思ってくれたのだろうか?
なんかうれしいぞ。
しかしセーブポイントまでは遠い。
明日はついでにF.H.の散策をしてみよう。