と思ってたら、なんとその殺人マシーンであるアーヴァインがわかるよと言い出した。
なんだ。ゲーム内でのパルプンテの言葉の意味は違ったのか。
どう考えてもアーヴァインがわかるとは思えない考え方だったんだけど。
俺のここまでの文章はいったい? まあいいやいつものことだ。
何しろ散々考えたことを
「魔女は私の奥さんです」ってそりゃねえだろシドさんよ。
まあ、いい。アーヴァインの言葉に注意を戻す。
「誰かがいなくなるかもしれない。好きな相手が自分の前から消えてしまうかもしれない。
 そう考えながら暮らすのって辛いんだよね〜」
お、ヒャダルコ、よおく聞いとけ。
ここにお前と同じことを考えてる奴がいるぞ。
「……だから僕は戦うんだ」
アーヴァインはバスケットボールを手に取った。ゴールもある。フリースローラインより少し前だ。
キャラ的には外すんだけど、狙撃手だから入れないとおかしい。
入れるに1票。
しかし即座に投げずに昔話を始めた。彼が四歳くらいのころの話だった。
「僕、孤児院にいたんだよね」
その言葉と同時にボールがフープを通った。ボードも使わない。さすがはスナイパーだな。
ともかく、孤児院にいたこと自体は驚くことではない。
ガルバディアとエスタの戦争が終わった直後なのだから。
「大勢の子どもたちがいて……みんな親がいなくてさ〜
 魔女戦争が終わったころだったから、親のない子はたくさんいたんだよね」
画面はアーヴァインの回想シーン、孤児院になった。
質素な石造りの建物で、窓からは海が見える。子どもたちが走っていった。
「で、いろんな子供がいたんだけど僕にとって特別な女の子がいたんだ〜」
アーヴァインの女好きは『三つ子の魂百まで』ってことか。
でも四歳だろ? ちょっと信じられないな。四歳なんて俺性別の概念すら知らなかったよ。
回想のなかで、緑色の服を着た小さな女の子が走ってきた。
アーヴァインに気づいて声をかけてくる。
『アービン、いっしょにあそぶ〜?』
「僕はその子が大好きで声をかけられるのがとってもうれしかったんだ」
ダメだ。この語尾に耐えられない。今後、アーヴァインの語尾は〜となっていると補完してください。
アーヴァインの現在の身体から、ちびアーヴァインが飛び出した。そして
『セフィ、なにしてあそぶの!』
って、その女の子はセルフィか? だからずっと気にしていたのか?
でもそうだったらなんで言わないんだ?
セフィとちびアーヴァインは駆けていった。


シーンはバスケットコートに戻る。
セルフィがアーヴァインに近づいた。
「その孤児院……石の家?」
やはり、セフィはセルフィだったのか。アーヴァインが肯定すると、今度は先生もやってきた。
おいおい、お前もか。
まさか『全員その孤児院にいました』なんていうつもりじゃないだろうな。
「石でできた古い家? ……海のそば?」
どうやら先生もそこにいたらしい。
「ガルバディア・ガーデンで会ったときに僕はすぐにわかったよ〜」
そうなのか。そうなのか。
するとお前は、キスティス先生とは顔見知りだったにもかかわらず
最初のメンバー編成希望では先生を外したのか。
孤児院での先生がどういう子だったのか想像できるエピソードだな。
つまり待てよ。
エルオーネが訓練場でキスティスに呼びかけた「キスティ」も
石の家での愛称なのだろう。
ということは、エルオーネもレインのもとを離れて石の家に厄介になったことがあるのだな。


場面はふたたび石の家に戻る。
『どうして言わなかったの!』と怒るちびセルフィとチビキスティスに
アーヴァインは2人とも忘れていたから、と言い訳をした。
あー、ここで師匠の記憶破壊技の登場ですか。よりにもよってここで、ですか。
それ反則、と言いたくなってくる……。
「元気なセフィとえばりんぼのキスティ」
やっぱり、キスティはこの家でのあだ名だった。
それにしても不思議な縁だ。セルフィが感心する。
そう。ここで終わってくれれば不思議な縁で済む。いや、もう微妙だが、済むと思わせてくれ。
もうこれ以上、石の家の出身者を増やさないでくれよ。
しかし祈りもむなしく、そこに登場したのはちびのゼルだった。
名乗る前に、普段の気合をためるポーズで彼とわかる。
彼もまた、石の家の記憶があるらしい。
え? でもゼルは両親いるじゃん。
戦争で一時的に親と離れ離れになったのかな?


ちびゼルの思い出は花火をしたというもの。
そのことについてもアーヴァインは覚えていた。
ちびアーヴァインが三人を呼び、子供たちは海辺へ走っていく。
そこになんだか透けてるヒャダルコがやってきた。
ヒャダルコがこの風景に来れるということは、彼もそこを覚えているということだ。
セルフィ、キスティス、アーヴァイン、ゼル、ヒャダルコ、そしておそらくエルオーネ。
これでさらに実はパルプンテもなんて言い出したら
電源叩き切ってやる。やめてやるからな。
とりあえず続けよう。
うろうろと歩き回っているうちに、ヒャダルコは子供たちが出て行ったのとは違うドアをくぐった。
そこには、回想シーンでおねえちゃんを待って泣いていたヒャダルコがいた。
やっぱり、ヒャダルコもこの石の家の住人だったのだ。
『まませんせい! おねえちゃん、いないよ!』
お姉ちゃんと引き離されて石の家に預けられたのか?
それとも、施設の中の年長の女の子がお姉ちゃんなのか?
後者の場合では、エルオーネがお姉ちゃんということもありうる。彼女はヒャダルコより4〜5歳上のはずだ。
門前の柱廊跡のようなところでちびヒャダルコがいじけている。
やっぱり「エルおねえちゃん」、と言っていた。やはりお姉ちゃんはエルだったのか。
あー、つまり。
ヒャダルコはラグナとレインの子供で
ラグナはジャーナリストを本業にしているからウィンヒルを空けることが多かった。
そこに、魔女の指示でエスタ軍が乱入。レインと、エル&ちびヒャダルコは離ればなれになる。
エル&ちびヒャダルコは石の家に落ち着いたものの
エルオーネは魔女アデルに狙われているので石の家から連れ去られてしまった。
そんな筋書きなのかな。