ホテルのフロントから下りる階段があり、その先はピアノ・バーになっていた。
この三人はピアノ・バーという雰囲気じゃないと思うのだが
そして所持金も3000ギルしかないのだが
まあこちらは兵隊だ。ツケは利くだろう。
水色のウェイトレスに話しかけたらいつもの特等席へと案内された。
なんだ。ここがラグナの行きつけだったのか。
選択肢には、「もう少し歩き回る」か「言われたとおり座る」かと
グレーの文字で「なんだこれは!」というものがあった。
恐らく一番下のものがヒャダルコの感覚なのだろう。
選んでみると、突然の声にラグナが戸惑っている。
彼にしてみれば行きつけの店で選択肢は座って飲むことしかないのに
いきなり躊躇されたらビックリもするに決まっている。
誰かに話しかけられたと思ったのか
しきりにあたりを見回した。キロスがどうかしたかと問いかけてくるがもちろん答えられない。
ふたたび特等席を勧められ、ふたたびヒャダルコの困惑を選ぶ。
あれ? これドラクエの姫様とかと同じで
これを選んでいたら先にすすめないものか?
ふたたびキロスに不審がられる。するとウォードが
「もしかして……頭ン中、ザワザワするんじゃないのか?」
と尋ねてきた。
ウォードよお前もか。
ということは、ラグナの頭の中にヒャダルコがいて
ウォードの頭の中にはゼルかセルフィがいるのだろう。
キロスもそうらしい。
もういちどふざけてヒャダルコの心の声を選んだら
ラグナが鬱陶しがって黙れ黙れと叫んでしまった。そしてウェイトレスは逃げていく。
しまった。ふざけすぎた。
怯えているウェイトレスをなだめて早く酒を出してもらわなければ。
ヒャダルコが、これは夢か? と疑問に思っている。
(ラグナかっこいい〜)
そうだな。お前もいるんだよな、セルフィ。
それにしてもさっきからドジばっかりしているお調子者を
かっこいいってお前どういう好みだ。
外見か? 外見なのか?
これだから女は!
「なんだよこれッ! オレ、どうなってるんだよッ!」
おおゼルも。無事で何よりだ。