保健室に行くと、カドワキ先生に「彼女かい」と冷やかされた。
もちろんヒャダルコはあっけなく否定しパルプンテが呆れた。
こういうときは嘘でも『そうだ』と言うのがエスコートしている男のたしなみなんでないのかと。
そうか? ここでプレイヤーである俺がきょとんとするのだが。
俺はよく女友達と歩くが
こういう質問に『そうだ』と答えたらぶっとばされるような気がする。
「自分に好意を抱いている女と歩いているときは」ということかな。
だとしてもパルプンテのこれまでにその種の意思表示はなかったと思うのだが
確かにパルプンテでないならば
わざわざ部屋までやってきて案内をさせるという行為は充分フラグが立っていると思うのだが。
この女はなあ。好きでなくてもその程度のことはしそうだからな。
でも本人は自分のことをそこらの少女と同じと思っているだろうから
「部屋まで侵入して案内を頼む私のドキドキくらい察しろ阿呆」
と考えているのかもしれない。わかるのだが理不尽さをぬぐうことができない俺であった。
このあたり、二人の会話が遠いところで浮いているような感じがする。
がんばってついて行きたい。
ちなみに17歳の日々なんて思い出せません。高校二年だよなあ。何してたっけ。


さてゲームに戻るが。
その問答に面倒になって「じゃあ、『そうだ』」とヒャダルコは答えた。
当然パルプンテはぐったりしてしまう。
もしヒャダルコに好意を抱いているのだとしても
よくもまあこの種の生き物を好きになれるよなあこの子も。
まあ世の中は顔、金、心の順番だろうから、無愛想でも顔がよくて能力があったら
「無愛想なのは、不器用なだけ」なんて錯覚するのかもしれない。
大多数はその通りだが、ヒャダルコの場合は心底からその種の感覚が欠落していると思うのだが
「実はいいやつ」になるのはこれからのことであって。
でもまあ、今後ゼルやセルフィなんかと一緒にいればどんどんいいやつになるだろうから
青田刈りとしては間違いはない。
……2人とも生きているのかな。彼らの生死は思わぬところでヒャダルコの幸せに直結していた。
ぎこちなさ過ぎてかえって笑える夫婦漫才に爆笑したカドワキ先生から
シド学園長に言伝を頼まれた。
あのひとは働きすぎだから保健室に来るようにと。
カドワキ先生かっこいいな。
相手が学園長であろうと往診はしないらしい。