ガルバディア・ガーデンがバラムに衝突する。
するとその衝撃で校庭の一部が崩れ落ちてしまった。
その一部にはパルプンテが乗っていて、地面ごと崖を滑り落ちてゆく。
危うく崖の出っ張りを掴んだものの
自分が立っていた足場がガーデンの車輪部分に巻き込まれて粉砕されるのを見て
さすがに顔色をなくした。
それにしても腕が伸びきっていない。
すこし肘を曲げた状態でも身体を維持していられるなんてすごい筋力じゃないか。
これなら、二人がロープを探している間耐えられるかもしれない。
いや、絶対無理だろう。
絶対無理だが、二人はがんばれとしか言えない。
ああ、コンサートのステージをF.H.に移植していなかったら
ロープでも何でもあったはずなのに、きれいに撤去されているから見つからない。
焦りながらゼルとキスティスは走る。


正門前にいるヒャダルコパルプンテの危険を訴えた。
任せろ、という言葉は冗談だったのか?
助けるなり見捨てるなりお前が判断を下せよ。俺でもそう思うのだからヒャダルコも苛立った。
そこにニーダの声が響く。
ヒャダルコ、聞こえるか! 教室が敵に襲われている!』
教室には年少クラスがいた。パルプンテは年少クラスじゃない。
どちらを救うのかはもう決まっている。
パルプンテパルプンテとさわぐゼルを、ヒャダルコはどなりつけた。
「危険なのはパルプンテだけじゃない!」
しかしアーヴァインが異議を申し立てた。
そりゃ冷たいよ。パルプンテはお前のことが好きなんだぞ!
それはヒャダルコにとっての大問題だけど、この学園の今の状況でも優先されるべき問題なのか。
指揮官に祭り上げられたヒャダルコが騒いでいい問題なのか。
ちょっと考えればわかりそうなものなのだが、ヒャダルコの仲間たちは揃いも揃って視野が狭くなっている。
つきあってらんない。ヒャダルコは三班に分かれることにした。
幸い正門にはシュウ先輩がいる。彼女なら指揮を取れるからセルフィを残してサポートをさせる。
防衛メンバーに対してフルケアを連発してやってくれ。
キスティス、アーヴァインはヒャダルコについて、教室へ向かう。
年少クラスを助けなければ。
ゼルにはパルプンテ救出を一任した。
「絶対助け出すんだ。頼んだぞ!」
その言葉でゼルは気合が入ったようだった。
自分だけでは方策が見つからなかったから、正門まで来たのだろう。
それなのに、頼んだぞの言葉でだまされてしまっている。
ゼルが、まるでなだめたりすかしたりしないと勉強しない愚図な子どもに見える。